【AI初心者向け】
AIはどうやって文章を作っているの?
その仕組みを具体例でやさしく解説します!
この記事のサマリー 📝
「ChatGPTみたいなAIって、どうして人間みたいに自然な文章が作れるの?」
この記事では、そんな疑問に答えるために、文章を作るAIがどのように賢くなってきたのか、その進化の歴史と基本の「からくり」を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。AIの旅を一緒に見ていきましょう!🚀
1. AIによる文章生成の第一歩 🐾
今でこそ賢いAIですが、その旅はとてもシンプルなアイデアから始まりました。それはズバリ、「次に来る単語を予測する」ということです。
1-1. 統計で予測:「今日の 天気 は」の次は「晴れ」? (N-gramモデル)
最初期のAIは、たくさんの文章データを読んで、「この単語の後には、この単語が来やすい」という確率をひたすら計算していました。例えば、「今日の 天気 は」という文章があったら、データの中で一番多く続いている「晴れ」という単語を選ぶ、といった具合です。
とても単純ですが、この方法では長い文章の文脈(話の流れ)を理解するのは難しかったんです。
1-2. 少しだけ過去を記憶して、次に来る単語を予測する (RNN)
次に登場したのがRNNという技術です。これは、直前の単語だけでなく、それまでの単語の流れを「記憶」しながら次の単語を予測しよう、という試みでした。
しかし、このRNNには「忘れっぽい」という弱点がありました。文章が長くなると、最初の方に何が書いてあったかを忘れてしまい、話のつじつまが合わなくなってしまうことがあったのです。
2. AIの歴史が変わった!革命的技術「Transformer」登場 ✨
RNNの「忘れっぽさ」を解決し、AIの世界に革命を起こしたのが、2017年に登場したTransformer(トランスフォーマー)という技術です。 「Attention is All You Need(アテンションさえあればいい)」という、なんともキャッチーなタイトルの論文で発表されました。
カギは「アテンション(注目)」!
Transformerは、文章の中のどの単語とどの単語が関連しているかに「注目(アテンション)」します。これにより、文章が長くても、大事な情報を見失わずに文脈を理解できるようになったんです。
さらに、Transformerは計算処理を並列で行えるため、これまでよりずっと速く学習できるという大きなメリットもありました。この革命的な技術が、今の賢いAIたちの土台となっているのです。
3. 巨大な頭脳の作り方 🧠
3-1. ひたすら「次の単語」を予測する「事前学習」
Transformerという強力なエンジンを手に入れたAIは、次に「事前学習」というトレーニングをはじめます。これは、インターネット上にある膨大な量の文章(本、ニュース、ブログなど)をAIにひたすら読ませて、「言語のルール」や「世界の常識」を自力で学ばせるプロセスです。
AIの自習方法:次に来る単語を当てるゲーム!
事前学習でAIがやっていることは、実はとてもシンプル。基本的には、文章の途中までを見せて「次に来る単語はなんでしょう?」とクイズを出し続けるようなものです。これを何十億、何兆回と繰り返すことで、AIは文法や単語の意味、そして文脈の読み方をマスターしていくのです。
[AIへの問題] 「吾輩は猫である。名前は__」
[AIの予測] 「まだ」
この方法はCausal Language Modeling (CLM)と呼ばれ、GPTシリーズをはじめ多くのAIの基本的な学習方法となっています。
4. AIをより賢く、使いやすくする「しつけ」🤖
事前学習を終えたAIは、たくさんの知識を持っていますが、それだけでは私たちの質問にうまく答えてくれたり、指示通りに動いてくれたりするとは限りません。そこで、人間が使いやすいように追加の「しつけ」が必要になります。
🎓 ファインチューニング
これはAIを「特定分野の専門家」にするためのトレーニングです。例えば、医療に関する大量の文献を追加で学習させれば「医療に詳しいAI」に、法律の判例を学ばせれば「法律に詳しいAI」に特化させることができます。
🤝 アライメント
AIの答えが、人間の価値観や好みに合うように調整することです。代表的な手法にRLHFがあり、人間がAIの回答を評価し、「こっちの答えの方が良いよ」とフィードバックを与えることで、より安全で役に立つ回答をするように導きます。
5. AIに”考えさせる”技術 💡
最近のAIは、ただ文章を作るだけでなく、複雑な問題を解くための「推論」も得意になってきています。その能力を引き出すための面白いテクニックがあるんです。
思考のプロセスを言葉にさせる「Chain-of-Thought」
人間が難しい問題を解くとき、いきなり答えを出さずに途中の考えを書き出しますよね。AIにそれと同じことをさせるのが「Chain-of-Thought(思考の連鎖)」というテクニックです。
質問の最後に「ステップ・バイ・ステップで考えてください」と付け加えるだけで、AIは答えに至るまでの過程を順序立てて説明してくれるようになります。不思議なことに、こうすることで最終的な答えの正解率がグンと上がることが分かっているんです。
[ユーザーの質問]
タラバガニ3匹とズワイガニ2匹では、足は全部で何本ありますか?
ステップ・バイ・ステップで考えてください。
[AIの回答]
承知いたしました。ステップ・バイ・ステップで考えます。
1. まず、各種のカニの足の数を調べます。
– タラバガニはヤドカリの仲間で、足は8本です。
– ズワイガニはカニの仲間で、足は10本です。
2. 次に、それぞれのカニの合計の足の数を計算します。
– タラバガニ: 8本/匹 × 3匹 = 24本
– ズワイガニ: 10本/匹 × 2匹 = 20本
3. 最後に、すべての足の数を合計します。
– 24本 + 20本 = 44本
したがって、足は全部で44本です。
6. 【個性派ぞろい】今、活躍しているAIモデルたち 🌟
今、世界中でたくさんの企業が独自のAIを開発しています。それぞれに得意なことや特徴があるんですよ。
GPTシリーズ (OpenAI)
AIブームの火付け役。自然な文章作成や複雑な指示の理解など、幅広いタスクで高い性能を誇るオールラウンダーです。
Gemini (Google)
最初から画像や動画も扱える「マルチモーダルAI」として設計されています。テキストだけでなく、多様な情報を統合して理解するのが得意です。
Claude (Anthropic)
AIの安全性と倫理性をとても重視して作られています。非常に長い文章(数万〜数十万語)を一度に読み込んで理解できるのが大きな特徴です。
Llamaシリーズ (Meta)
設計図(モデル)がオープンに公開されており、誰でも研究や改良に参加できるのが特徴です。AI技術の民主化を目指しています。
まとめ:AIはどうやって文章を作っているの?
この記事では、文章生成AIの進化の旅を見てきました。ポイントを振り返ってみましょう!
- AIの文章生成は、「次に来る単語を予測する」というシンプルな仕組みから始まりました。
- 「Transformer」の登場で、文章全体の文脈を理解できるようになり、性能が飛躍的に向上しました。
- 現代のAIは、大量の文章で「事前学習(自習)」を行い、言語のルールや世界の常識を学んでいます。
- さらに「ファインチューニング」や「アライメント」によって、より専門的で、人間に役立つように「しつけ」られています。
つまり、現代のAIは、膨大な知識をベースに、文脈を読んで確率的に最もそれらしい言葉を選び出し、それを自然な文章として繋ぎ合わせることで、私たちの質問に答えてくれているのです。
AIの仕組みが少しでも身近に感じられたなら幸いです!🎉